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郊外の土地を購入した。周囲にはのどかな田園風景。ここに家を建てよう、と私は思った。
ハウスメーカーが決まると、まずは地盤調査だ。後で報告されるのを待てばいいのだが、胸騒ぎがしたので現地に向かった。案の定、作業員がにわかに動揺しはじめた。
「どうしました?」
黒いモヤが見えると騒ぐ作業員の後ろから、古墳時代の装束を身に着けた女が現れた。私はすぐに理解した。
「あなた、この世の者じゃないですね?」
「いかにも。本日は頼みがあって参った。建築を中止してほしい」
「なにゆえに?」
「ここにはわたしの家があったのだ」
いわく付きということで安く手に入れた土地だ。こんなこともあろうかと思い、祓う心構えでいたが、女の情念に負けた。
「わかりました。では月三千円で手を打ちましょう」と提案した途端、女は自らスッと消えてしまった。せっかくルームメイトができそうだったのに、とても残念だ。
ハウスメーカーが決まると、まずは地盤調査だ。後で報告されるのを待てばいいのだが、胸騒ぎがしたので現地に向かった。案の定、作業員がにわかに動揺しはじめた。
「どうしました?」
黒いモヤが見えると騒ぐ作業員の後ろから、古墳時代の装束を身に着けた女が現れた。私はすぐに理解した。
「あなた、この世の者じゃないですね?」
「いかにも。本日は頼みがあって参った。建築を中止してほしい」
「なにゆえに?」
「ここにはわたしの家があったのだ」
いわく付きということで安く手に入れた土地だ。こんなこともあろうかと思い、祓う心構えでいたが、女の情念に負けた。
「わかりました。では月三千円で手を打ちましょう」と提案した途端、女は自らスッと消えてしまった。せっかくルームメイトができそうだったのに、とても残念だ。
ファンタジー
公開:24/06/22 16:29
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)
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