ベランダでの出来事

これはヘンゼルとグレーテルが建てた家に友人である３匹の子豚がやって来た時の話である。
ベランダでティータイムを楽しむ２人と３匹。ふと、長男子豚が口を開いた。
「そう言えば僕ら昔、魔女に頼まれてお菓子の家を建てた事があるんだ」
その言葉に目を剥くヘンゼルとグレーテル。
「そういやそんな事あったね、兄さん」
「でもそのお礼に、狼を退治する方法を教えてもらったんだよね」
ヘンゼルとグレーテルは思い出す。
かつて魔女は自分達を大きな鍋に入れて料理しようとしていた事を。
かつて３匹の子豚を狙ったオオカミが煙突から侵入した結果、鍋に落ち手料理されてしまった事を。
「ここから見える、あの大きな煙突見ていたらさ、思い出したんだ」
「思わず涎が出ちゃうね」
「あの時食べたオオカミ、美味しかったなぁ…」
昔を思い出し笑い合う３匹の子豚。
その日を最後にヘンゼルとグレーテルが３匹の子豚を家に呼ぶ事はなくなった。