弾ける夏空、一杯！

今日の夏空をサイダーにして飲みたい。

部屋の窓から眺めた空は透明に青く輝いていて、飲み干したいほど綺麗だった。衝動的にグラスを手に取って玄関を飛び出し、祖母の畑へ駆けていく。まっすぐに佇む黄色い群れが見えてきたら、自分の浅い呼吸と早い鼓動が無性に可笑しくなって笑い出した。

向日葵畑に着くと呼吸を整え、力いっぱいパチパチパチと拍手を送る。音に合わせて散りゆく黄色の花弁。最後にはポンっと弾けた花から透明な泡が現れて空を昇っていく。
新種の向日葵【タンサンフラワー】。弾けた花が泡となり、夏空に溶けて炭酸空を作り出す。黄色の花弁が敷き詰められた畑でシュワシュワ泡立つ空を見上げる。次第に膨れた入道雲がゴロゴロ唸り出すと、強炭酸のような雨が地を叩き始める。傘もささずにグラスを掲げれば、向日葵型の泡が舞い踊る今日の夏空色サイダーで満たされていく。
雷鳴に乾杯！！
弾けるそれを私は一気に飲み干した。