豪邸だったものの話

この場所には昨日まで豪邸が建っていました。
信じられないでしょう？でも本当の話です。このあばら家は昨日まで豪邸だったんです。
何でもその豪邸…壁を嘘で塗り固めていたそうです。
ここの家主、とんでもない嘘つきでして、嘘に嘘を塗り重ねて、この家を立派に見せていたのです。
ですが嘘なんていつかはバレるもの…嘘にひびが入り、真実が明らかになるや嘘で塗り固めた壁は消え、元のあばら家に戻ったと…
家主は「俺は金持ちだ！」なんてよく言っていました。実際は平均的なサラリーマンでした。
とはいえ、そんな嘘も本命の嘘に比べれば可愛いものです。
家主、不治の病の奥さんに「大丈夫。キミの病気は必ず治る。お金の心配もいらない」と言い続けていました。
奥さんを元気づける為の嘘です。
その嘘が昨日、嘘じゃなくなったと聞きました。
金持ちを演じる必要がなくなったので、家主は奥さんと身の丈にあった部屋に引っ越したそうです。