ベランダでの出来事

魔法大学に通う私は寮生活をしている。
今朝も１階のベランダから見上げると１年生達が箒にまたがり学校へと向かう。
まるで新しい自転車を買ってもらった子供だ。中には競争を始めた者もいる。
多くの箒が飛び交う中、危なっかしい飛行をしている箒を見つける。
あれは完全にコントロールを失っている！危ない！と、思うも遅かった…地面に叩きつけられる生徒。
私はベランダから飛び出すとその生徒に駆け寄る。
…良かった。生きている。
急いで回復魔法を唱えると、傷は瞬く間に治った。
これも１年生あるあるだ。箒は誰にでも扱えるものではない。私みたく、空を飛べない魔法使いだって少なくない。
だから私みたいな回復魔法使いが常駐している。

放課後、朝と同じようにベランダから見上げていると朝の生徒が私を訪ねてきた。
その両目の中に♡が浮かんでいるのが見える。
命の恩人が美魔女に見える現象。これもまた、１年生あるあるだな。