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五時に起床し、弁当用の卵焼きとウインナーを焼く。洗濯機を稼働させているあいだに、前日の朝に部屋干しした洗濯物をたたみ、インスタントコーヒーと半額で購入したクロワッサンで朝食を済ませる。
洗濯物を干すとおもむろに窓の向こう側に目をやる。光り輝く鳩がやってくるからだ。俺はゆっくりと立ち上がり、窓を開ける。彼は俺の頭のなかに話しかけてくる。

「タケシよ。今日は有給を使いなさい。なぜならお前は、」
「はい、休みます。休めないと思いますけどね」

俺は鳩の声をさえぎって答え、ナッツを差し出す。

「あんた、昔、俺が拾った犬のチロの生まれ変わりなんだろ? ありがとな」

鳩は涙を流してうなづき、空気にとけて消える。
言う通りに休むが、俺はどう回避しようと目論んでも、なんらかの事故で即死する。自宅にいても、外出しても。出勤しても結果は同じだ。
目覚めたら、昨日と変わりない一日がはじまる。
ファンタジー
公開:24/06/20 08:24
更新:24/06/20 08:27

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。

清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選

ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)

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