巡街の手記より【!.wav】弟子の回想
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「天国はどこにあると思う?」
と先生は言った。
「お空の上にあるんじゃないの?」僕は答えた。
「私はね、天国は人間が考えた絵空事であるから外の世界には無いんじゃないかと思うんだ」
夢の無いことを言うなぁと子供ながらに思う。
「人間の内にこそあるんじゃないかと思うんだ」
それは予想外。
僕は絵本を閉じて先生が作業をしているモニターを覗き込んだ。何やら沢山の波形が地層のように積み重なっている。
「今はまだ天には届かないかもしれないが、届かせてみせるさ」と僕の頭を撫で笑った。
そんな事を言っていたなぁと思い出に浸りながら遺されたデータ達を見ている。
testと書かれた音声ファイルの山。その頂きには「!」と書かれた一つのファイル。これが答えなのだろうか?
遂に天に届いたと言い遺した先生。
最期まで日の目を見なかった天国への階段。
このままでは忍びない。
僕は架空の空へファイルを解き放った。
と先生は言った。
「お空の上にあるんじゃないの?」僕は答えた。
「私はね、天国は人間が考えた絵空事であるから外の世界には無いんじゃないかと思うんだ」
夢の無いことを言うなぁと子供ながらに思う。
「人間の内にこそあるんじゃないかと思うんだ」
それは予想外。
僕は絵本を閉じて先生が作業をしているモニターを覗き込んだ。何やら沢山の波形が地層のように積み重なっている。
「今はまだ天には届かないかもしれないが、届かせてみせるさ」と僕の頭を撫で笑った。
そんな事を言っていたなぁと思い出に浸りながら遺されたデータ達を見ている。
testと書かれた音声ファイルの山。その頂きには「!」と書かれた一つのファイル。これが答えなのだろうか?
遂に天に届いたと言い遺した先生。
最期まで日の目を見なかった天国への階段。
このままでは忍びない。
僕は架空の空へファイルを解き放った。
SF
公開:24/06/20 00:03
最近始めました。
まだ勝手がわからないので探り探り。
短い話の掛け合いで関わり合う物語が出来たら面白いかなと試行錯誤中。
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