警察象

4
5

「動物の中で一番嗅覚が優れているのは象なんです。花子は必ず役に立ってくれると信じてます」
世界初の警察象お披露目会見で肩に跨った訓練士は報道陣に対して声を張り上げた。

「犯人の臭いがあるのね。でもここは通れないから他を探そう」
「花子、踏み荒らしちゃダメ。現場の原型がなくなっちゃう」
「不審者よ花子。ああ路地に逃げられた」
なかなか成果をあげられない花子を署長が咎めた。
「象に警察犬の代わりは無理なんだよ。実は動物園から声が掛かっていてね」
「花子にも適した役割がきっとあります。最後のチャンスをください。実は一つ考えがあるんです、言いにくいんですが」
「象でも出来ることがあるとは思えんが言ってみたまえ」署長はのけぞった。

ハンドルを握る男は信号手前で急に象が現れたので驚いた。
鼻で黄色い旗を掲げた象の脇を園児たちが手をあげて渡る。
象は肩から『ぞうの署長さん』というタスキをかけている。
その他
公開:24/06/19 07:02
更新:24/06/19 07:04

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容