ヒマワリ

去年の夏、種からヒマワリを育ててみようと思った。
種を植えると数日で芽が出た。面白いと思った。
綺麗な花を咲かせてくれよ。願いを込めた。
元気に大きくなってくれよ。愛情を込めた。
その甲斐あって、ヒマワリはすくすくと育つ。
私の願い通り、美しい大輪の花を咲かせた。
普通、ヒマワリの花と言えば、太陽の方を向くものだけど、私の育てたヒマワリはずっと私の方を向いている。
このヒマワリにとって太陽とは空に浮かぶものではなく、毎日ヒマワリに向けて笑顔を浮かべる私なのかもしれない。そんな妄想に笑みが零れる。
夏が過ぎ、秋が訪れ、冬の寒さに襲われるもヒマワリは枯れなかった。
春の到来に、より美しさを増し、再び巡ってきた夏に、さらにその大きさを増す。
枯れぬヒマワリはずっと私を見つめる。
その花言葉同様「あなただけを見つめる」と言わんばかりに私に花を向け続ける。
ヒマワリが込めた感情を、私は怖いと思った。