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昼前の会議が長引いた。26階建のオフィスから1Fのコンビニへ急いでお昼を買いに行く。会計を済ませ中庭のベンチへ向うと、足元に点々と続く跡があった。その跡の行く先に目を向けると、ベンチの上に茶色いくて丸いものがあった。

ナーオと丸いものから鳴き声がした。ヒョイとベンチから飛び降りて、花壇の方へ歩いていった。どうやら全身泥だらけの猫らしい。誰かにいたずらされたのか、鈍臭いやつなのか。

翌週、残業後の帰り道。歩道の真ん中にあの猫が丸くなっていた。肩で息をしており、ぐったりしている。車にでも撥ねられたのか。タオルで包み家まで連れて帰った。

洗面所で泥を落とすと、猫はどんどん小さくなっていった。最後には棒でできた猫の骨組みだけが残った。それは鳴きもしないし、動きもしなかった。

あれからしばらく経った。けれど、今でもあの泥だらけの足跡が点々と続いていないか、ついつい探してしまう。
その他
公開:24/06/21 22:40

たかきだ ほむら( 夜と昼のあわいに )

べんきょうちゅう。

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