口がかたいミキサー

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「店長さん、このスムージーめちゃくちゃ美味しいですね!」
「ありがとうございます。当店自慢の特製スムージーですから」
「材料はなんですか?」
「このミキサーに聞いてみてください」
店長はミキサーを私の目の前に置いた。
「え、これに?」
「はい」
「このスムージーの材料は何?」
『そのスムージには小松菜やほうれん草などの野菜のほか、珍しい果物が隠し味で入っています』
「え!喋った!?」
「えぇ、喋るミキサーです」
店長は微笑みながら言った。
「珍しい果物ってなんですか?」
『それは企業秘密です』
「喋るのはすごいけど、そこは教えてくれないのね」
「はい、口が堅いミキサーですから」
一体どうなっているんだろうと私はミキサーを手に取り、蓋を開けようとした。
「うっ……んっ!……だめだ、全然開かない」
「そうなんです。私もいつも開けるのに苦労していて。このミキサー、材料の投入口も固いんです」
ファンタジー
公開:24/06/20 23:05

雪宮冬馬( 日本 )

Yahoo!でのログインがどうもできないので新たに作りました。
20代男。趣味でショートショートを書いてます。
夢は「坊っちゃん文学賞」受賞!

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