月に晒された金魚を追いかけるとき

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 自分の腕を天井に伸ばす。手が金魚のようにゆらゆらと闇の中を泳いでゆく。次いで、指の骨を鳴らしてみる。ぽきっぽきっと鈍い音が鳴った。その骨の音がまるで金魚の悲鳴のように聞こえて、思わず目を伏せた。暗闇の中にぼうっと浮かぶ白い金魚。尾鰭の大きなそれは六畳の空間を自由に泳ぎ回る。疲れたら止まって、そしてもう一度動き出す。窓から差し込む月の光には目もくれず、ただ、自身の罪を償うかのように部屋をぐるぐる泳ぎ回る。よく見ると背鰭に近い部分の鱗に傷がある。その白い身体には到底似合わない生々しく、平凡な傷は俺とそいつを繋ぎ止める唯一の望みだ。金魚を手で隠してみる。月の光に照らされた俺の腕はどこか頼りない。金魚は掌の左側から入って右に抜ける。金魚が掌のちょうど真ん中に隠れた時、手を握ってみた。その瞬間、月より白く、明るい光が辺りに散らばった。光はすぐに消え、月の光に晒された俺の拳だけがそこに残った。
ファンタジー
公開:24/06/20 21:39
更新:24/06/21 19:04

おいしい舞茸( きょーと )

舞茸です。
舞茸そのものです。

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