オレンジ色のマッチ箱

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夕焼け空に、カンカンと踏切音が遠く響く。そこに、オレンジ色に染まったマッチ箱みたいな一両電車がやって来た。私はそれに乗り込み、少し高めの段差をぐいと踏んで青色のフカフカした座席に座る。
「マッチ箱」は松山環状線を走る路面電車の愛称で、外観がオレンジ色なのと、電車が木造であることから名付けられたそうだ。古いものでは70年以上も使われ続けており、地域住民の足だけでなく、昭和のレトロな雰囲気を感じられると観光客にも人気がある、と私は今日学校で先生が言っていたことをぼんやりと思い出していた。
「次は、○○、○○」
次の停留所の放送が入り、私はチンとボタンを押す。停車を知らせる緑のランプが淡く光り、大きな音を立てながら電車が止まる。私は立ち上がり、少し音のなる床を踏みしめながら出口に向かった。
電車を降りた後、少し振り返って電車を見ると、より濃くなった茜色の空に、マッチ箱がぼうと浮かんでいた。
その他
公開:24/06/18 19:44
更新:24/06/18 19:58
松山 路面電車 マッチ箱

ちむ( 愛媛県 )

文を書くことにハマり、最近活動を始めたひよっこ高校生です。お手柔らかにお願いします。

近況報告です!
長らく投稿をお待たせしてしまっていてすみません…ペンが(頭が)絶不調に陥っていまして中々「コレだ!」という作品が書けず…抜け出し次第投稿しますのでゆる〜くお待ちくださいませ!

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