おかあさん

2
2

『ぼく大きくなったらおかあさんと結婚する!』

そう最後に言ったのがいつのことかもう思い出せない

今わたしには最愛の妻と子供がいる

それでも時々幼い頃のあの言葉が思い出される

仕事を持ち家庭を持ち自身の生活に満足している

なのにどうして今あの言葉を思い出すのだろうか

がむしゃらにここまで走ってきた だからこそ掴み得た現在がある

振り返るにはまだ早い

ふと目をやると妻と子供が遊んでいる

その光景に幸せを感じる 

『ママ 大きくなったらぼくのお嫁さんになってよ』

聞こえた言葉に驚いて妻と子供の方を見る

わたしのリアクションに驚いたように妻が言った

『子供ってほんとに無邪気でかわいいよ
ね』

その微笑みは慈愛に満ちた表情だった

その笑顔を見てわたしはわかったような気がした

思い出してたのはあの時のわたしの言葉じゃなく

母の笑顔だったのだということを
その他
公開:24/06/11 01:02

icchi

頭の中に浮かんでは消える意味のない想いのようなものを成仏させてあげたくてただただ書いてます

青春の呪いが多分にかかってると思われます

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容