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どこか楽しげな月の光を背景に、男たちは出鱈目な、到底道とは言えぬ道を下る、下る。脚はもうとっくにその機能を停止している。下っているというよりは転げているという認識の方が近いかもしれない。それでも男たちはその脚を止めることなく、暗黒の大地にまた一歩、靴跡をつける。もはや暑いのか寒いのかわからないが、身体からは汗が噴き出ている。しかし、男たちには汗を拭う時間すらも与えられていない。体外へ放出された水分を取り戻そうと、喉は水を要求する。水など、とうの昔に飲み干した。突然、仲間の1人が根っこに躓き、本当に転げた。しかし、男たちは仲間に構うことなく、兵隊の行進のような美しい隊形で山を下る、下る。どれくらい下っただろうか。男たちにはわからない。平地に近い気もするし、まだまだ半分にも到達していないような気もする。男たちは山を下る、下る、下る。雲に隠れた月が男たちを嘲笑っている。
その他
公開:24/06/10 21:06
更新:24/06/10 22:56
更新:24/06/10 22:56
舞茸です。
舞茸そのものです。
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