名画でショート017『死の島』(アルノルト・ベックリン)
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私が死ぬのは5度目だった。
その度に小舟で「死の島」に連れていかれるのだが、死ぬたびに微妙に異なる。
初めての「死の島」は夕暮れ時だった。島というか大きな岩場で、島の中央にはまるでモヒカンのように数本の糸杉が直立していた。
2回目は糸杉の数が増え、3回目になると今度は岩場が城壁のように白く高くなった。また時間帯も朝に変った。
4回目は岩場と糸杉の高さが同じになり、5回目は嵐の前の静けさという不気味な雰囲気を漂わせている。
この「死の島」は同じ場所なのだろうか。それとも、私は並行世界を生きていて、それぞれの別の「死の島」にたどり着いているのだろうか。
小舟には白いローブを羽織った老人が立っている。その老人に、私は棺桶の中からここは何処だと尋ねる。
老人は何も言わない。何も答えない。何も示唆しない。
結局のところ、ここはどこでもない場所なのだろう。考える意味もないほどの。
その度に小舟で「死の島」に連れていかれるのだが、死ぬたびに微妙に異なる。
初めての「死の島」は夕暮れ時だった。島というか大きな岩場で、島の中央にはまるでモヒカンのように数本の糸杉が直立していた。
2回目は糸杉の数が増え、3回目になると今度は岩場が城壁のように白く高くなった。また時間帯も朝に変った。
4回目は岩場と糸杉の高さが同じになり、5回目は嵐の前の静けさという不気味な雰囲気を漂わせている。
この「死の島」は同じ場所なのだろうか。それとも、私は並行世界を生きていて、それぞれの別の「死の島」にたどり着いているのだろうか。
小舟には白いローブを羽織った老人が立っている。その老人に、私は棺桶の中からここは何処だと尋ねる。
老人は何も言わない。何も答えない。何も示唆しない。
結局のところ、ここはどこでもない場所なのだろう。考える意味もないほどの。
その他
公開:24/06/14 21:55
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