怪談1・横断歩道の手
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残業で遅くなった夜の横断歩道。
赤信号がぽっかりと浮かんでいる。
私以外の人も車もなかったが、私は律儀に守っていた。
やがて信号が青になり、私は横断歩道を渡ろうとした。
その時だ。
何かが私の足を掴んだ。
ぎっちりと握られた足首に伝わる冷たい五本の指の感触は気のせいではない。
逃げよう。
私は、必死で足を動かそうとしたが、手は離れない。
誰か、誰か、助けて!
心の中で叫ぶが、通りがかる人はいない。
「きゃあっ!」
手から逃れようともがいて転んだ私の目の前を、信号無視の車がすごい勢いで通りすぎて行った。
脱げた靴が轢かれて潰れた。
足を掴んでいた手は、いつの間にか消えていた。
恐怖に震える体を無理矢理起こして、大急ぎで帰宅した。
家に着いて、信号無視の車に轢かれて亡くなった女性がいたことを思い出した。
今も足首に残る五本の痣は、私の指よりも細い。
赤信号がぽっかりと浮かんでいる。
私以外の人も車もなかったが、私は律儀に守っていた。
やがて信号が青になり、私は横断歩道を渡ろうとした。
その時だ。
何かが私の足を掴んだ。
ぎっちりと握られた足首に伝わる冷たい五本の指の感触は気のせいではない。
逃げよう。
私は、必死で足を動かそうとしたが、手は離れない。
誰か、誰か、助けて!
心の中で叫ぶが、通りがかる人はいない。
「きゃあっ!」
手から逃れようともがいて転んだ私の目の前を、信号無視の車がすごい勢いで通りすぎて行った。
脱げた靴が轢かれて潰れた。
足を掴んでいた手は、いつの間にか消えていた。
恐怖に震える体を無理矢理起こして、大急ぎで帰宅した。
家に着いて、信号無視の車に轢かれて亡くなった女性がいたことを思い出した。
今も足首に残る五本の痣は、私の指よりも細い。
ホラー
公開:24/06/12 23:58
更新:25/04/09 11:25
更新:25/04/09 11:25
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tamanegitarou1539@gmail.com
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