猫のひたい
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ベランダで猫のひたいを育てている。
前の住人が残して行った猫草のプランターだ。引っ越し当初はしおれてボサボサだったが、まめに手を入れてやると綺麗な若草色の毛並みになった。
よく晴れた朝、ジョウロで水やりを済ませた後、お気に入りの出窓の下で日光浴がてらブラッシングする。風にそよぐ耳の間を梳いてやると、気持ち良さげにさやさや鳴く。
干したての洗濯物にちょっかいをかけ、ベランダに遊びに来た子雀とけんかをし、プランターの隅に生えた猫じゃらしと一緒に遊び。狭いながらも日々元気に成長している。
やがて季節が一つ過ぎ、青々と茂った毛並みは輝く金茶色になり、伸びた穂にたくさんの種が実った。
梅雨の晴れ間の昼下がり、軽くまばらになった耳の間を梳いてやる。丸まってカサカサ寝息を立てるひたいから、猫の目の形の種が掌にこぼれた。
おやすみなさい。また次の季節に会おうね。
日なたの匂いのする種に鼻先を寄せた。
前の住人が残して行った猫草のプランターだ。引っ越し当初はしおれてボサボサだったが、まめに手を入れてやると綺麗な若草色の毛並みになった。
よく晴れた朝、ジョウロで水やりを済ませた後、お気に入りの出窓の下で日光浴がてらブラッシングする。風にそよぐ耳の間を梳いてやると、気持ち良さげにさやさや鳴く。
干したての洗濯物にちょっかいをかけ、ベランダに遊びに来た子雀とけんかをし、プランターの隅に生えた猫じゃらしと一緒に遊び。狭いながらも日々元気に成長している。
やがて季節が一つ過ぎ、青々と茂った毛並みは輝く金茶色になり、伸びた穂にたくさんの種が実った。
梅雨の晴れ間の昼下がり、軽くまばらになった耳の間を梳いてやる。丸まってカサカサ寝息を立てるひたいから、猫の目の形の種が掌にこぼれた。
おやすみなさい。また次の季節に会おうね。
日なたの匂いのする種に鼻先を寄せた。
ファンタジー
公開:24/06/10 16:56
ラジオ『月の音色』
月の文学館
テーマ:ベランダでの出来事
朗読採用いただきました
ฅ^•ω•^ฅ
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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