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今朝、蛞蝓を踏んだ。「キャッ」という声が聞こえた気がした。コリッという感触によろけると、足裏が臭うほどにべたついた。内臓がはみ出していて内臓があることに驚いた。死んだ蛞蝓は、生前より少しだけ大きい。アルカリイオン水とティシュで始末する。暗い廊下にしゃがんでいると、隣で猫が鳴き続ける。さまざまな表情や声音で、一つのことを訴え続ける。それが何かは分かっている。それが嘘だということも。だからずっと無視することにしている。プラスチックゴミを捨てに行かなければならない。もう午後七時を回ろうとしている。猫が飛び出そうとするので、ゴミ袋をバリケードにして自分だけ、燕の糞を踏まないようにして外に出る。そこからは十字路が七つある。いくつか間違えたせいで、黄色い百合ばかりの村に着いた。花嫁衣裳でさえ黄色だという。どんどん失われていく未来にもコンビニはあって、百円引きのペペロンチーノを買った。猫の声が止んだ。
ファンタジー
公開:24/06/04 20:41
新出既出です。
twitterアカウントでログインしておりましたが、2019年末から2020年年初まで、一時的に使えなくなったため、急遽アカウント登録をいたしました。過去作は削除してはおりませんので、トップページの検索窓で「新出既出」と検索していただければ幸いです。新出既出のほうもときおり確認したり、新作を挙げたりします。どちらも何卒よろしくお願いいたします。
自己紹介:「不思議」なことが好きです。
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