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草木も眠る丑三つ時。
独りの女が月光すら届かぬ暗闇をゆらりゆらりと歩いている。潤いを失った長い黒髪には数本の蝋燭が飾られ、虚ろな瞳で木槌と不気味な藁人形を握りしめている。女は1本の大木の前へ立つと、藁人形を木へあてがい、鬼の形相で大きく木槌を振りかざす!…とその時「ブン…ブン…」という妙な音に気付いた。暗闇に慣れてきた女の目に映ったもの、それは…お尻の針で藁人形をツンツンと刺す一匹の蜂だった。きょとんとする女の前で蜂はそれを繰り返すと、今度は蠟燭の立つ女の頭へ飛び、小さな足でスリスリと撫で始める。すると、ドロドロとした感情が次第に消え去り、女はその場で号泣した。
この蜂はウシミツバチといって、丑三つ時に人間の仄暗いドロドロの感情を集めて蜜をつくる変わった蜂だ。複雑な感情から集めてできるこのウシ蜜は甘いだけでなく酸いも味わえるとして、その魅力にべたつく程憑りつかれてしまう人間も多いとのこと。
ホラー
公開:24/05/26 11:30
更新:24/05/26 22:45
甘い、しょっぱい、甘い… エンドレスリピート 違うジャンルチャレンジしてみた

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

いつもご訪問ありがとうございます。
元:ネモフィラは咲うです。大原さやかさんのラジオ「月の音色」では、ペンネーム:花笑みの旅人として投稿しております。
物語を読んでくださったうちのどなたか一人にでも、笑顔になってもらえたらすごく嬉しいです。

すこしおやすみします。

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