水くさい羊羹

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困った時に現れる羊羹がいる。

現れてくれるのはとてもありがたいのだが、その羊羹は他に大事な用があるにもかかわらず来ているというような、どこかそわそわとした素振りをみせる。

言ってくれれば手伝う事だってできるのに、水くさいやつだなあといつも思う。

ある日、僕がお腹を空かせて困っていると、羊羹はいつも通りそわそわしながらやってきた。僕は羊羹を半分だけ食べてこう言った。

「もうお腹は満足さ。ところで君、なにか困っているんだろう?いつも助けてもらっているんだ、お礼に手伝わせてくれ。」

羊羹はしばらくもじもじしていたが、自分の家に僕を案内してくれた。僕は羊羹の役に立つ事ができるのだと嬉しくなった。



羊羹の家はとても立派な洋館だった。ここで西洋雑貨を取り扱うショップを経営しているようだ。

僕は羊羹に困っていることを改めて聞く前に思った。

“こいつ、バタくさいやつだったんだな。“
ファンタジー
公開:24/05/22 23:17
更新:24/05/23 13:30

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