映画のような恋だった

それは運命の出会いだったと両親は話す。
お互いの素性を知らず恋に落ち、両家の仲の悪さ故に引き裂かれそうになったと語る。
それでも抗い、結婚というハッピーエンドに至った。
そんな話を２時間休憩なしで聞かされた。危ない危ない…これ以上話が続くと飽きてしまうところだったよ。
話が終わると両親は冊子を見せてきた。
今の話で語り切れなかった舞台裏や、両親の結婚に協力してくれた仲間達の活躍から名前までが書かれた本。
それはパンフレットのように薄く、先程聞いた話をより楽しむものとしては最適だった。
何より両親の恋愛を誰よりも応援し、結婚に至るまでのシナリオを描いた父の兄。そのシナリオに文句をつけながらも監督作業を勤めてくれた母の妹。二人のインタビューは面白かった。
ところでスペシャルサンクスに私の名前があるのはどうしてだろう？
この時まだ私は生まれていない。私が生まれたのはハッピーエンドから約半年後だ。