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おじは日本一の牧場主になるのだと言って、親戚中の笑い者になっていた。
だけどあたしは、そんなおじが大好きだった。
皿洗いをしながらアメリカ横断した話は本当に面白くて、遊びに行くたびにせがんで聞かせてもらったものだ。
獣医を目指したのは、おじに憧れていたから。牧場を運営しているおじの手伝いがしたいと考えていた。
だからおじが行方不明になったと聞いたときは自分の耳を疑った。急いで駆けつけると、おじは昨日まできちんと手入れした牧場と、お茶を飲んだ形跡を残して消えてしまっていた。親戚によれば、多額の借金があったのだそうだ。
まもなく牧場と動物たちは他人の手に渡ってしまったけれど、あたしはこっそり一頭の牛だけ連れだしていた。一瞬でおじだと見抜いていたからだ。
「いつか全部買い戻して、もう一度初めからやり直そうね、おじさん」
牛はあたしの目をまっすぐに見て、哀しげにモオオと鳴いた。
だけどあたしは、そんなおじが大好きだった。
皿洗いをしながらアメリカ横断した話は本当に面白くて、遊びに行くたびにせがんで聞かせてもらったものだ。
獣医を目指したのは、おじに憧れていたから。牧場を運営しているおじの手伝いがしたいと考えていた。
だからおじが行方不明になったと聞いたときは自分の耳を疑った。急いで駆けつけると、おじは昨日まできちんと手入れした牧場と、お茶を飲んだ形跡を残して消えてしまっていた。親戚によれば、多額の借金があったのだそうだ。
まもなく牧場と動物たちは他人の手に渡ってしまったけれど、あたしはこっそり一頭の牛だけ連れだしていた。一瞬でおじだと見抜いていたからだ。
「いつか全部買い戻して、もう一度初めからやり直そうね、おじさん」
牛はあたしの目をまっすぐに見て、哀しげにモオオと鳴いた。
ファンタジー
公開:24/05/24 09:00
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)
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