言葉の代わりに

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2200年、知能サボテンの第一人者・江木野博士は高度な知能を持つサボテンの
育成に成功し、ノーベル賞を受賞した。
授賞式の最中、サボテン・ラリアは博士の事をずっと罵倒していた。
「私が凄いだけで、アンタは何にも凄くないボンクラなのよ!!」
これに腹を立てた助手達、トゲトゲとした言葉はその棘のせいだと冗談混じりで
ラリアの棘を一本残らず抜いてしまった。

ラリアは喋らなくなったが
博士は甲斐甲斐しくラリアに話しかけた。


ラリアは、助手達をからかっていた。戸惑う助手達を
見て笑っていたし、博士を悲しませて辛くもあった。


でも、このまま平凡なサボテンで居るほうが、静かでいいと考えた。
あんな好奇の目で見られる事もない。


ラリアが水を貰う時に小さく「いつもありがとう」と言うと、
博士は嬉しそうに少し頷いた。


雨季、言葉の代わりに綺麗な花を咲かせた。
SF
公開:24/05/25 15:17
更新:24/05/25 19:16

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