華やかなアナゴ

4
3

舞台の上に、ゆっくりと静かに立つ。
キリッとした笛の音が鳴る。

全ての声援を吸い込んで、
さあ、いくわよっ!



「さて、最後の種目はアナゴです!」
「これは注目ですよ。未知子選手の得意種目です。」

先ずはスピン。
よく巻いていくわよっ!

「これは鮮やかなスピンですね!」
「未知子選手、とても冷静です。」

次は4回転ジャンプ。
絶対に決めるわっ!

「これは!決まれば世界初!ぐっ!決まったーーー!!」
「すごいですねえ、世界初、やりましたよ。しかし最後まで体力が持つか。次は最後の見せ場、ステップシークエンスです。」

最後まで全力でいくわよっ!

メ打ち、背開き、骨切り、ターン!

「決まったぁぁああーーー!!」
「いやあ、今までにない非常に華やかなアナゴでしたねー。」



鳴り止まぬ拍手と喝采の中
舞台から静かに下りる。

全てを抱き締めて、
わたしは焼き場へと走った。
ファンタジー
公開:24/05/24 22:38
更新:24/05/25 08:20

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容