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忘れたいことがあるなら、と都会の真ん中にある八百屋を紹介された。そこで買った野菜を食べると、悩みが吹き飛んでしまうらしいのだ。
もしかしたらでたらめかもしれない。だけどなにもしなければ私自身が壊れてしまう。そう思いながら予算を決めて、会社帰りに足を運んだ。
高いビルに囲まれた細い路地を進み、何度も引き返そうと迷ったけれど、どうにかたどり着くことができた。四畳半しかないちいさな小屋が噂の八百屋だった。
お団子頭の老婆は、私をひと目見るなり断言した。
「足りないのは水分だね。これとこれとこれがいい。あとは背筋を伸ばしなさい」
私は気の抜けた返事をして支払った。神様に道を教えてもらったらこんな感じなのだろうと思った。
家で大量のサラダをつくり、無心になって食べた。あとは背筋を伸ばせばいい。なんだ、簡単なことじゃないか。号泣しながら完食すると、忘れたいことがすべて消えてなくなっていた。
もしかしたらでたらめかもしれない。だけどなにもしなければ私自身が壊れてしまう。そう思いながら予算を決めて、会社帰りに足を運んだ。
高いビルに囲まれた細い路地を進み、何度も引き返そうと迷ったけれど、どうにかたどり着くことができた。四畳半しかないちいさな小屋が噂の八百屋だった。
お団子頭の老婆は、私をひと目見るなり断言した。
「足りないのは水分だね。これとこれとこれがいい。あとは背筋を伸ばしなさい」
私は気の抜けた返事をして支払った。神様に道を教えてもらったらこんな感じなのだろうと思った。
家で大量のサラダをつくり、無心になって食べた。あとは背筋を伸ばせばいい。なんだ、簡単なことじゃないか。号泣しながら完食すると、忘れたいことがすべて消えてなくなっていた。
ファンタジー
公開:24/05/21 09:00
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)
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