爺ちゃんの教え

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亡くなった爺ちゃんが夢に現れた。
「相変わらず無職か、うちの孫は。働くのが嫌いなのか?」
「あぁそうだよ。がっかりした?」
爺ちゃんは歯のない口を大きくあけて高笑いした。
「いいや別に。おれも若い頃はどうしたら働かずに生活していけるか考えていたからな」
俺は若干の不安を覚えながらきいた。
「それでどうしたの?」
「考えに考えて生みだした方法を日記にしたため、蔵に隠しておいた。早く探しに行きなさい」
目覚めると、すぐに実家の蔵を片付け始めた。そのうち自分なりのこだわりが生じてきて、より効率のいいまとめ方ができるようになったが、爺ちゃんの日記はどこからもみつからなかった。
年老いた両親が涙を流して喜んでくれたから、片付け専門の便利屋を始めた。あっというまにひと財産築けたのは、導いてくれた爺ちゃんのおかげだと思っている。
今度、放ったらかしにしていた虫歯を治すつもりだ。歯は大事にしたい。
その他
公開:24/05/23 09:00
更新:24/05/21 12:28

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。

清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選

ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)

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