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おいしい赤ワインをもらった。これがとにかくスーパーで買った半額のチーズに合う。私は少し早い夏休みを取って、朝からベランダ飲みすることにした。

テーブルに百円のグリーンを飾り、背もたれの高さが変えられるリゾートチェアを並べる。グラスに赤ワインを注いで、うきうきしながら化粧品の定期便十回記念で届いたプレゼントを開封した。目にも鮮やかな青い日傘だった。

「『雨の日は使わないでください』か。どれ、試してしんぜよう」

風呂場に移動し、シャワーの水をうえに掲げる。自作の歌を高らかに歌い上げながら柄を回していたけれど、まもなく異変が起きた。秒ごとに傘が重くなってゆくのだ。見上げると、水分を含んで大きく膨れ上がっていて、まもなく目の前で弾け飛んでしまった。

右手に赤ワイン、左手に壊れた傘。私はいったいなにをしていたのだろう。

我に返った私は、明日からまじめに働こうと思った。
その他
公開:24/05/17 09:00

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。

清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選

ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)

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