気分屋マントの好むもの

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とある騎士のマントは大変気難しい。どんなに強風の日でも、気分が乗らなければ微塵も風に靡かないどころか、鉄板みたいにカチコチになることさえあった。そんな彼の気分屋マントは、いつしか風たちの間で話題となっていた。
ある日、風たちは「誰があのマントを一番綺麗に靡かせることができるのか?」を勝負してみることにした。暴風で強引に靡かせようとる風もいれば、甘い花の香りをのせて、とにかく優しくマントの機嫌を取りながら靡かせようとする風もいた。しかし、風たちがマントを構えば構う程、マントは委縮し強張っていく。多くの風たちが表情険しく次の作戦をゴウゴウ練っている中、周りで無邪気にかけっこをしていた子供の風が偶然マントの横をすり抜けた。すると、マントは今までに見たことがない程美しく風に靡き、笑い出した。
ビュウビュウ話し合っていた風たちはピタリと止まり、急な風の変化に驚いた風見鶏が甲高い声でキーと鳴いた。
ファンタジー
公開:24/05/17 20:00
更新:24/05/17 20:18
ちょっと北風と太陽みたい? 風に靡くマントかっこいい 風の日好き

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

 

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