曼荼羅

どうやら、曼荼羅の世界に入り込んでしまったようだ。
巨大な仏像群が座禅を組みながら私を見下ろしていて、どれだけの声が重なっているかも
分からない読経が絶え間なく続いているのだが、不思議と圧迫感や不快感は感じられない。
仏教に傾倒しているわけではないのに、何故このような
場所に迷い込んでしまったのだろうか？
歩いていくと豪奢な扉がある、扉を開けるとまた同じような曼荼羅の部屋が広がる。

行けども行けども仏像、ゆっくりと空間が歪む無限の部屋の中を進み歩き回る。

驚いたのは、私が動かなくても部屋が万華鏡のように、次々と景色を変えていく事だった。
歪みに緩急があるのは恐らく、自分の心の状態が反映されているのだと思った。
そこで私は心の平静を保つ為に仏像のように座禅を組み、気持ちを落ち着かせた。




気付いたら自分の部屋に戻っていた。落ち着いた私は先程買ったロープをゴミ箱に入れた。