書道教室

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職場の近くに書道教室がオープンしたので行ってみた。講師が一人、生徒が十数名。半紙と墨汁、筆が用意され、手本の通りに書いて下さいと言われた。手本の字は読めない。多少書道の心得があるが、楷書行書草書、隷書篆書ではない。何という字かと聞いても講師は真似て下さいというばかり。とにかく手本を真似て書いた。次週もまた渡された手本を真似る。やはり読めない。いつも読めない手本の練習。生徒は減って半年も経つと私ひとりになった。私は続けた。
一年後のある日、手本の字の意味がわかった。外国語が急に聞き取れる感じ、しかし翻訳できない。何となく「水」とか「鳥」とか感じるだけ。手本を真似るのが楽しくなった。では自分でも書いてみて下さいと講師は言った。私は「読めない字」を考えて書いては講師に見せる。講師は朱を入れる。三年が過ぎた。講師はよろしいと大きな丸をくれた。私は講師から許されて、今では自宅で書道教室を開いている。
その他
公開:24/05/16 17:00

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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