文字を溶かして

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クラフトビールあります
猛暑日の帰り道。こんな看板を見てしまったら誰が店に向かう足取りを止める事が出来るだろうか。「すいません、クラフトビール1つ。あと適当におつまみ」私はネクタイを緩めながらカウンターに座り注文をした。それから1分も経たないうちにビールは出てきた。私はそれをグイッと飲む。しかしそれはいつもの飲みなれたビールのようだった。「お客さん、それじゃまだただのビールですよ」いかにもマスターのような風貌の店員は呆れたような顔をしていた。「なに?」「じゃあ今からクラフトしていきますからね」店員は本を取り出し、銀の棒で私のビールジョッキへ文字を滑らせていく。「本日は銀河鉄道の夜です」いくらかちゃぽんと文字を入れたらそのまま棒でかき混ぜていく。「ではどうぞ」私は恐る恐るそれを口に入れる。幻想的でなんとも言えない味わいが広がり、なぜか私は涙を流していた。ワイシャツはぐっちょり濡れている。
ファンタジー
公開:23/11/06 22:14

リマウチ

超ショートショート書いていきます

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