ビールの煮凝り

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私の二十歳の誕生日。父は物置から七輪を引っ張り出し、庭で缶ビールを焼き始めた。
「今日の為に沢山用意したんだ」
笑顔で話す父。並べられた様々な銘柄のビール。これ、普通に飲みたかったなぁ…
くつくつと七輪の上で音を立てる缶ビール。プシュッ!と音がしたと思ったら、プルタブではなく上蓋が貝みたくカパッと開いていた。
「まだだ。もう少し待て」
沸騰した缶から泡が溢れる。思わず喉が鳴る。
「もういいかな?」
あちち…と言いながら缶を掴み、冷ました後にその中身を皿の上に出す。
黄金色のゼリーが姿を見せた。
「ビールの煮凝りだ。食ってみな。美味いぞ」
勧められたそれを箸で掴み、口にする。
魚の内臓のような苦みだ。それが嫌じゃないし癖になる。
「銘柄で出来る煮凝りも変わってくるからな。お勧めはチョコレートビールの煮凝りだぞ」
七輪の熱とアルコールで赤くなった父の顔は、熱の抜けない煮凝りみたくとろけていた。
公開:23/11/06 21:22

幸運な野良猫

yahoo!サーバーに問題が発生したらしく2022年9月1日より2週間入れなかったので新規にアカウント取得。
半年以上毎日Yahoo!IDでログインを試みるも、現在進行形でログインできない状態です。#EY003って何だ?
運営に報告するも、ずっと無視されております。自動応答メールだけが返ってくる…1年経過で、もう諦めた…

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