青春の代償

不良高校に通い、ろくでなしだった俺。先生はそんな俺にラグビーを教えてくれた。
テレビで見た事がある。こんな感じか？と、不意打ち気味にタックルをかました。
だが、先生はそんな俺を軽々と受け止め、それどころか返り討ちにしてきた。
これが喧嘩なら勝ち負けが存在し、どちらかが戦意を喪失するまで終わらないだろう。
だが、先生は俺の戦意を試合に向けるよう指導してきた。喧嘩より面白い勝ち負けの世界がそこにあった。
正々堂々、全力でぶつかり合える場所がそこにあった。ライバルがいた。
先生と出会えた事で、俺は本当の意味での青春を過ごせたのだと思う。
「一緒に心の汗を流そうぜ！」
そんな青臭い事を言っていた先生。
きっと教え子である俺にも、そんな先生の臭さが移ったのだろう。
照れ臭くて「ありがとう」と素直に言えない。口に出そうとすると、心がむずむずする。
きっと汗をかきすぎて、心にも汗疹が出来ているせいだ。