ブラックなお年玉

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「ハッピーニューイヤー!」

テレビをつければ、新年を祝う挨拶ばかり。私は憂鬱だった。日を跨ぐだけでハッピーになれたらどんなに楽か。心労で仕事を辞め、恋人に振られ…去年は散々な一年だった。今年もそうに違いない。うんざりして、私は夜の公園へ散歩に行った。ベンチに座り、漆黒の空を眺めていると、全身黒い服のカラスみたいな老人が近づいてきた。

「お嬢さん、新年なのに暗い顔をしているね。そんな君には…ほれ、お年玉。」

真っ黒な封筒を差し出されて躊躇する。

「怪しいものでは…といっても無理だろうが、私を信じて。」

優しい声と眼差しを信じてみたくなり、私は袋を開く。すると、眩い光が溢れ出し、私の黒い瞳に星が宿る。

「そのお年玉袋には、去年の君の絶望の分だけ、今年の希望が入っているんだ。」

あぁ、今日の夜空はこんなに輝いていたのか。私は目の前の老人に笑顔で告げる。

「ハッピーニューイヤー!」
ファンタジー
公開:23/11/08 19:00
研究室ライブ ガーデン仲間に刺激を受けて 配信で登場したワードから

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

 

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