私のビール

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浮気を問い詰めたら、逆切れして、振られるって、おかしくない?

腹が立っても、腹は減る。

なのに冷蔵庫をあけたら、ビールだけ。
・・・あいつ、浮気していたくせに、私の作った料理は食い尽くしていったのかっ!

バカが下戸だったからか、懸賞で当てたクラフトビールの詰め合わせだけが、冷蔵庫に鎮座している。

やってられない、まず1本。泣き叫んだ喉には甘露の露、一瞬で消えた。

気づいたら、2本目。

最後まで自分本位だった男を一瞬で忘れられそうな、脳天を直撃なスパイシーな味だ。

3本目。予想外の苦さと酸味。あまりのクセの強さに、こんなクラフトビール斬新すぎると思わず笑ってしまった。

ふと鏡を見る。
泣き笑いで、ビールを持って、でも姿勢はまっすぐな、悪くない私がいた。

涙なんかもったいない。

今晩は飲んで飲んで、そしたら明日は思わず飲んだら笑顔になるような、私のビールを探しに出かけよう。
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公開:23/11/03 22:57
クラフトビール

七下

はじめまして。
短く長い、400字の世界に魅了されました。

数ある作品の中から読んでいただき、ありがとうございました。
感想、ご指摘、お待ちしております。

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