紙袋

「アンタの顔なんてもう二度と見たくない！」

私は昨日、友人にそう怒鳴った。
今日、友人は頭に紙袋を被って教室にやって来た。何もそこまでする事ないだろう…
でもこれはきっと反省の表れだ。仕方ない…許してやるか。
私は友人の紙袋に手をかける。紙袋の下から紙袋が現れた。
その紙袋を取り去る。その下からも紙袋が現れた。
何度も何度も紙袋を取り去る。いくらやっても紙袋はなくならず、新たな紙袋が現れる。
散らかった教室。それを見て、先生が私に怒った。
「待ってよ先生！私じゃなくて悪いのはこいつだから！」
言い訳をする私の頭に紙袋が被せられた。
それを見て、友人は紙袋を脱ぎ去る。
「”アンタの顔なんてもう二度と見たくない”…それ、私のセリフだから」
私は紙袋を脱ごうとする。だけども脱いでも脱いでも紙袋の下から出てくるのは紙袋。
しかも誰も紙袋を被った私を気にしない。
むしろ皆、心なしか嬉しそうだった。