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夕暮れの空を飛び交う色違いのジョッキの群れに、もうすっかり秋だなと思う。
金の胴に白い翅、分類上はトンボの一種らしい。なみなみ注がれた生ビールそっくりなのでビールヤンマと呼ぶ。
夏の間はおそろいの金色をしているが、秋風と共にオスは黒や赤の焙煎色に変わる。持ち手を絡ませたオスメスのつがいはクラフトヤンマと呼ばれ、おのおの個性豊かな羽音や飛行軌道を描きながら、サンマ雲の泳ぐ天の海へ炭酸卵に上って行く。
クラフトヤンマが炭酸卵を終えると、金色のビール雲がビール時雨を運んで来る。
夕映え色に泡立つ雫は極上のクラフトビールだ。空に向かって口を開け、自然の恵みをダイナミックに味わう。陽に焼けたサンマ雲の匂いを肴に、『今』という一杯一会を丸ごと楽しむのだ。
酔っ払った山の樹々が葉を紅く染め、ビールの一雨ごとに季節は進む。
枯葉について地面へ降りた炭酸卵は、夏の夕立の頃に金のジョッキになって空を舞う。
金の胴に白い翅、分類上はトンボの一種らしい。なみなみ注がれた生ビールそっくりなのでビールヤンマと呼ぶ。
夏の間はおそろいの金色をしているが、秋風と共にオスは黒や赤の焙煎色に変わる。持ち手を絡ませたオスメスのつがいはクラフトヤンマと呼ばれ、おのおの個性豊かな羽音や飛行軌道を描きながら、サンマ雲の泳ぐ天の海へ炭酸卵に上って行く。
クラフトヤンマが炭酸卵を終えると、金色のビール雲がビール時雨を運んで来る。
夕映え色に泡立つ雫は極上のクラフトビールだ。空に向かって口を開け、自然の恵みをダイナミックに味わう。陽に焼けたサンマ雲の匂いを肴に、『今』という一杯一会を丸ごと楽しむのだ。
酔っ払った山の樹々が葉を紅く染め、ビールの一雨ごとに季節は進む。
枯葉について地面へ降りた炭酸卵は、夏の夕立の頃に金のジョッキになって空を舞う。
ファンタジー
公開:23/11/03 20:56
クラフトビールコンテスト
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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