飛ぶぞ
4
6
公園の端にテントがあった。「クラフトビール新商品 無料試飲会」と看板が出ている。無料だと、人が集まりそうなのに誰もいない。さっきまで誰かが注いでいたように小さなカップに入ったビールが並んでいる。
「ホップの香り」という貼り紙の前のカップを取った。ぐいっと一息で飲むと、爽やかな香りが広がった。
その横には「ステップの苦味」と書いてある。飲むとガツンと苦味が通り過ぎた。
次が最後。「ジャンプ 飲んでみな。飛ぶぞ」
華やかな香り。嫌味じゃない苦味。風に吹かれるような爽やかさ。美味い! 一歩踏み出すと、ぴょんと体が弾んだ。ホップ、ステップ、ジャンプ。体が宙に浮かぶ。
空にはたくさんの大人が浮かんでいた。どおりで行列がないはずだ。
「ご安心を。飛ぶのは酔っている間だけです」
そう言って、エプロンをつけた男性が目の前を通り過ぎて行った。どうやら、提供側なのに誘惑に負けたようだった。
「ホップの香り」という貼り紙の前のカップを取った。ぐいっと一息で飲むと、爽やかな香りが広がった。
その横には「ステップの苦味」と書いてある。飲むとガツンと苦味が通り過ぎた。
次が最後。「ジャンプ 飲んでみな。飛ぶぞ」
華やかな香り。嫌味じゃない苦味。風に吹かれるような爽やかさ。美味い! 一歩踏み出すと、ぴょんと体が弾んだ。ホップ、ステップ、ジャンプ。体が宙に浮かぶ。
空にはたくさんの大人が浮かんでいた。どおりで行列がないはずだ。
「ご安心を。飛ぶのは酔っている間だけです」
そう言って、エプロンをつけた男性が目の前を通り過ぎて行った。どうやら、提供側なのに誘惑に負けたようだった。
ファンタジー
公開:23/11/05 17:56
名作絵画ショートショートコンテストで「復元師」が太田忠司賞を受賞しました。
キンドルでSF短編を発売中。https://amzn.to/37n3Bjv
「ショートショートの花束」8と9にものっていますので、よろしく。
ログインするとコメントを投稿できます