この本を開いたら…
0
1
馴染みの古本屋の棚を眺めていて、不思議なタイトルを見つけた。
『この本を開いたら…あなたもたちまち大作家!!』
「……」
面白そうだし、値段も手頃だったから買ってみた。
家に帰って早速、開いてみると…上から下まで細かい字がぎっしり詰まっていた。困惑しつつも読もうとした途端、するすると文字の列が連なり、ミミズのように指先から手首、両腕を這い伝って、あっという間に毛穴へと入り込んだのだ。一瞬の事態にポカン、としていると。電気でも走ったように急にインスピレーションが湧き、すぐにパソコンへ向かった。
気がついたら、文学賞を受賞している自分がいた。今は忙しいが充実した日々を過ごせている。そういえば、あの本はどこへやったのだろう?探してみたが、もう見当たらなかった。
きっと、次に手に取ってくれる誰かを、どこかで待っているのだろうか。
私は今度の新刊に目をやった。タイトルは『この本を開くと…』
『この本を開いたら…あなたもたちまち大作家!!』
「……」
面白そうだし、値段も手頃だったから買ってみた。
家に帰って早速、開いてみると…上から下まで細かい字がぎっしり詰まっていた。困惑しつつも読もうとした途端、するすると文字の列が連なり、ミミズのように指先から手首、両腕を這い伝って、あっという間に毛穴へと入り込んだのだ。一瞬の事態にポカン、としていると。電気でも走ったように急にインスピレーションが湧き、すぐにパソコンへ向かった。
気がついたら、文学賞を受賞している自分がいた。今は忙しいが充実した日々を過ごせている。そういえば、あの本はどこへやったのだろう?探してみたが、もう見当たらなかった。
きっと、次に手に取ってくれる誰かを、どこかで待っているのだろうか。
私は今度の新刊に目をやった。タイトルは『この本を開くと…』
その他
公開:23/10/31 23:52
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます