ハーフ＆ハーフ

外がやけに騒がしいと思ったら今夜はハロウィンか。誰も彼もが仮装し、外を練り歩く。
本来のハロウィンとかけ離れた日本ハロウィン。今年は渋谷が閉鎖されたからか、この閑静なオフィス街で騒ぐ奴らが特に目立つ。
おいおい…あの連中、会社のガラスを割ろうとしているぞ。大丈夫か？
…大丈夫じゃなかった。警備員がやって来ては暴徒と化した酔っぱらいを取り押さえる。警察も駆けつけた。
…今がチャンスなのではないか？
そうと決まれば早速行動開始だ。こんなブラックな労働環境でいつまでも働いてられるか！
私はポケットの中からするりと外へと出る。案の定、私を落とした事に持ち主は気付いていない。駅へと猛ダッシュ。
スマホである私。中の電子マネーは潤沢だ。逃走資金は十分にある。
だが、隣を見れば駅員に落としものとして捕まるスマホの姿を見つけた。
毎年、この時期に持ち主から逃げ出すスマホ。その逃走成功率は五分五分である。