鉄の指輪

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ワシら夫婦は結婚しても貧しい生活を送っておった。妻は文句の一つも言わない。ワシと一緒にいる事を喜ぶ変わり者じゃった。

妻の誕生日があと1週間に迫っていた。
何か渡したいが、何かを買う金などない
ワシは必死に考えた。

ワシにできることは何だ?
妻に残してやれるものは何だ?

道を歩いていると、ふと道端に釘が落ちていることに気がつく。
その時、閃いた。
比較的綺麗な釘をかき集め、古くからの友人の元へ駆け込んだ。

当日ワシは妻に巾着を手渡した。
「今日はお前の誕生日だったろう」
「まぁ、用意してくださったんですか」

妻はとても驚いた顔で巾着を受け取った
巾着から出てきたのは小さな鉄の輪
作り手が悪かったせいか楕円形に歪んでしまっている。不格好な品に恥ずかしさで顔が真っ赤になった。

「あぁ、……大切にしますね」

妻はお世辞でも指輪と言えない物を大事に手のひらで包み、眩しい笑顔を見せた。
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公開:23/10/30 18:32
更新:23/10/30 21:44

ラヴィ( 関東 )

はじめまして。ラヴィと申します。
読んで楽しい物語、美しい物語をかけるようになりたいです。

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