時の満ち引き

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 歴史とは変わるものである。住む人が変われば営みだって変わるだろう。変化し続ける姿こそ人間らしくもあるのだ。

 ふと、通り抜けた秋風が鼻先を冷やしたせいで、わけもなく涙が滲んでしまう。
 景色は変わらずとも営みの変わった街並みに足を止めることもあった。あちこちから吹く風は新鮮で、それでもじんわりと馴染んでいた。
 玄関の戸を開けると、実家だけが持つ香りが出迎えてくれる。きっと今晩はおばあちゃんのバラ鮓だ。
「おかえり。遅かったね」
「知らないお店が増えてたから、寄り道しちゃった」
 変わらないものが待つ家に、変わったものを持ち寄って。そうやって私も街もみんな時代を作っているのかもしれない。

 いつもそこにある海だって、色んな潮を乗せては表情を変えていく。
公開:23/11/01 13:35

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