bar Clair de lune

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そのBARにたどり着くのにかなりの期間を要した。それでも宇宙史を学ぶ私にはどうしても叶えたい夢があった。
「よく来られましたね」とマスター。
「星図にのっていないので史書の座標だけを頼りに」
「ここらはもう人の住む所じゃありませんからね。だけどこれはここじゃないと作れない」マスターが目の前にビールを置いた。「どうぞ【Gekkou】です」
天の川の雫と月酵母で作られた黄金に煌めくビール。これを飲めば死んだものに再び出会えるという。
「誰か会いたい人が?」
「いえ、人じゃないんです」
店を出るとふわりと体が浮いたような気がした。酔ったかなと思ったが何のことはない、スーツの重力装置のスイッチを入れ忘れて本当に宙に浮いていたのだ。
月平線のはるか先。大昔に活動を停止した灰色の惑星に命が吹き込まれるかのように鮮やかな海の色がよみがえる。
かつて銀河で最も美しい星と言われた地球を私はその時初めて見た。
SF
公開:23/10/28 21:18
更新:23/10/29 18:58

杉野圭志

元・松山帖句です。

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