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遠い成人の日、私はまだ二十歳ではなかった。
こぢんまりとした成人式の後、皆が連れ立ってお酒を飲みに行く後ろ姿をぼんやり眺めたまま、帯締めや項に添う花弁に触れては捻れた心を揉みほぐした。
ほんの数ヶ月、そこには壁があった。
恩師を囲んでお酌したり慣れたように静かにグラスを傾けたりする同窓生。私以外にもソフトドリンクや烏龍茶を嗜む人がいたかもしれない。それだけの理由で声をかけるほどの社交性があれば、苦い思い出とはならなかっだろう。
やっと成人したものの、お酒は私の身体には合わなかったようで。たった数口で酩酊してしまうのには参ってしまった。
そんな時、とある友人が言ったのだ。
「一口でも飲めるなら、その一口が最高に美味しいお酒を探そうよ。あなたの子ども舌の御気に召すものをさ」
なるほど。お酒を楽しむだけじゃなく、お酒を飲むことを楽しむのだってわるくないかもしれない。
こぢんまりとした成人式の後、皆が連れ立ってお酒を飲みに行く後ろ姿をぼんやり眺めたまま、帯締めや項に添う花弁に触れては捻れた心を揉みほぐした。
ほんの数ヶ月、そこには壁があった。
恩師を囲んでお酌したり慣れたように静かにグラスを傾けたりする同窓生。私以外にもソフトドリンクや烏龍茶を嗜む人がいたかもしれない。それだけの理由で声をかけるほどの社交性があれば、苦い思い出とはならなかっだろう。
やっと成人したものの、お酒は私の身体には合わなかったようで。たった数口で酩酊してしまうのには参ってしまった。
そんな時、とある友人が言ったのだ。
「一口でも飲めるなら、その一口が最高に美味しいお酒を探そうよ。あなたの子ども舌の御気に召すものをさ」
なるほど。お酒を楽しむだけじゃなく、お酒を飲むことを楽しむのだってわるくないかもしれない。
その他
公開:23/10/27 23:36
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