いかがかな?

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 ここには二種類のクラフトビールがある。黒っぽい方が「覚えてるやつ」で、白っぽい方が「忘れちゃうやつ」。そのまんまのネーミングで分かりやすいね。
 ところで、市販されている酒の大半はこの「忘れちゃうやつ」系の配合になっている。だが、原材料と醸造過程に雑味が多いために「悪酔」を誘発することが多くなる上、かなりの量を摂取しないと記憶をなくすところまでいかない。結果、自身に大きな負担をかけてしまう。
 その点この「忘れちゃうやつ」は、アルコール度数かなり高めでありながら、クリーミーな泡の作用で飲みやすく、飲酒前後3時間の出来事を完全に忘れられる。
 また記念日などにぴったりの「覚えてるやつ」は、キレのある強炭酸のドライな喉越しで、飲酒直後から2時間の出来事を一生涯忘れることができなくなる。
 ちょっと怖いな、とお思いなら、わたくしクラフトビールマイスターが経験に基づいてブレンドする。いかがかな?
その他
公開:23/10/27 22:08

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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