おすそわけ

読書家の友人の部屋の掃除を手伝っていると同じ本が何冊も出て来た。
おいおい…もうボケたのか？
「そんなわけないだろう。その本、産卵したものが孵化したんだよ」
産卵？散らばる方じゃなくて、産む方の産卵？
「そ。本っていうのは雄雌で相性のいい本が近くにあると産卵するんだ。その時、卵が割れないよう、こうやって本で部屋を散らかされてしまうのさ。私だって、好きでこんなに散らかしているんじゃないからね」
そんなバカな…
「嘘だと思うなら、その本のサイズ測ってみなよ。多分まだ成長しきっていないから少し小さいと思うよ」
本当だ…この本、ワンサイズ小さい。
「折角だし、その本持って帰りなよ。今日の掃除のお礼」
本をおすそわけされてしまった…まあ、折角だし貰っておくか。

その決断を私は１カ月後に後悔する事になった。
綺麗に片付けられた私の部屋は今、本で散乱してる。何が原因かは言うまでもないだろう。