おすそわけ

祖父母から大量の野菜が届いた。
男の一人暮らしにはとてもありがたい。すぐに電話で礼を言う。
『その野菜はお隣さんがおすそ分けしてくれたんじゃ』
そうなんだ…それならちゃんとお礼をした方がいいだろう。
今度の連休にそっちに顔出すよ、と祖父母に伝え、電話を切った。

連休に入り、祖父母の家へ行くと玄関先で大量の野菜を抱えた女性と目が合った。
「この人がいつも野菜をおすそ分けしてくれている方よ」
祖母の紹介に「いつも美味しい野菜をありがとうございます」と頭を下げる。
「ウチの野菜をそんなにも気に入ってくれるなんて嬉しいです！これからも沢山おすそ分けしますね」
元気いっぱいに笑う女性にドキッとする。
「こいつにあんたの苗字もおすそ分けしてやってくれ」
俺の心を見透かしてか、祖父がそんな事を言いやがった。
「ご迷惑でなければ…」
トマトみたく赤くなった顔で女性は呟く。
おすそ分け、お願いしようかな？