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「まぁまぁ、どうぞ」
なんだか楽しくなってきた私は、ラジオにも酒をすすめてみた。
すると、音声がぐんにゃり歪んできて、まるで酔っ払っているかのような放送になった。
「フフッ、おもろ」
そのラジオは父が残した古いもので、晩酌をするときはいつも流している。大きくて頑丈だからか、今まで故障知らずだ。それなのに、グラスに酒を注いで供えると、必ず変調をきたすことに気づいた。
好みに煩い父に似て、安酒にするとまるで拗ねたようにフツっと音が途絶えたりした。ラジオのくせに。
だから、命日には父が好きだったクラフトビールを取り寄せてみた。そうすると、今回は上機嫌に歌うかのように、変調子でぐわんぐわんと音を歪ませてくる。まったくもって聞くに堪えない。
「親父、音痴だったからなぁ」
ひどい調子っぱずれだが、美味いビールと一緒に味わう懐かしさは、何物にも代えがたい酩酊をもたらしてくれたのだった。
なんだか楽しくなってきた私は、ラジオにも酒をすすめてみた。
すると、音声がぐんにゃり歪んできて、まるで酔っ払っているかのような放送になった。
「フフッ、おもろ」
そのラジオは父が残した古いもので、晩酌をするときはいつも流している。大きくて頑丈だからか、今まで故障知らずだ。それなのに、グラスに酒を注いで供えると、必ず変調をきたすことに気づいた。
好みに煩い父に似て、安酒にするとまるで拗ねたようにフツっと音が途絶えたりした。ラジオのくせに。
だから、命日には父が好きだったクラフトビールを取り寄せてみた。そうすると、今回は上機嫌に歌うかのように、変調子でぐわんぐわんと音を歪ませてくる。まったくもって聞くに堪えない。
「親父、音痴だったからなぁ」
ひどい調子っぱずれだが、美味いビールと一緒に味わう懐かしさは、何物にも代えがたい酩酊をもたらしてくれたのだった。
その他
公開:23/10/25 01:04
ラジオ
クラフトビール
短いお話なら書けるのでは? という安直な考えからショートショートに飛びついてみれば、その奥深さや可能性に打ちのめされている最中です。
読後に何らかの余韻を残してもらえるようなショートショートを目指しています。
田丸雅智先生のオンライン講座第20期に参加させていただきました。
※プロフィールや投稿作品に使用している画像はフリー素材サイト様からお借りしています。
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