外来種

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 アマガエルの王は言った。
「これからは多様性の時代。どの種族とも仲良くすべし」
 反対するカエルたちもいたが、王の言葉は絶対だった。

 ある日、旅で疲れたウシガエルが国を訪れた。アマガエルたちは、旅人にコオロギとバッタを与えた。しかし、旅人は不満を漏らすばかりか、更なる食事を望んだ。当然、民衆の反発が起きた。
「こんなヤツとは共存できない。追放しろっ!」
 アマガエルたちは皆、王に進言した。しかし、王は言葉を曲げなかった。それどころか…「畏まりました」と、旅人に頭を下げた。気を良くしたウシガエルは、一切の遠慮が無くなり、「では一日10匹のアマガエルを献上せよ」と言い放った。王は要求を受け入れた。…弱いアマガエルの種が生き延びるには仕方ない。王は憂いた。しかし、旅人は言う。「食い足りない、明日からは20匹食わせろ」

 王は思う。
 本当に、これから先――…我々に未来はあるのだろうか…。
ホラー
公開:23/10/23 00:12
これが人の世界だったら? 百田尚樹先生、ファンです

Sees

ショートショート好き。
得意ジャンルはホラー。
座右の銘は『清く正しくいやらしく』。
好きな書籍は『悪魔の辞典』と『悪魔の寓話』。
制限400字という発想に感銘。
コメントとフォローはできるだけ返します。

楽天ブログにて『株式会社SEES』の名でショートショートと短編小説掲載中。
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さて、今日はどんな事件が起きることやら……。



 

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